
2020年代に入り、世界の空気は大きく変わったと感じている。感染症の拡大や国際情勢の緊張の高まりによって、モノやヒトが自由に国境を越えていた時代から、「自国や同志国でどう備えるか」を重視する時代へと、潮目が変わった。エネルギー資源や重要鉱物の供給が、国際情勢によって左右されるリスクは、以前にも増して意識されるようになっている。
そうした中で語られる「備蓄」とは、多くの場合、石油や天然ガス、レアアースといった資源のことを指す。もちろんそれも大切なことだ。しかし私は、もうひとつの備蓄があると考えている。それは、再生可能エネルギーという「備蓄」である。
太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーは、いったん設備投資をしてしまえば、その後は燃料費がかからない。減価償却が終われば、発電コストは限りなくゼロに近づいていく。これは、将来にわたって使い続けられる、いわば「エネルギーの貯金」のようなものだと感じている。効率だけを追い求めれば、目先のコストは下がるかもしれない。しかし、燃料を必要としない再生可能エネルギーを地域に増やしていくことこそ、これからの時代のもうひとつの「備蓄」のかたちではないだろうか。

