
AIが搭載されたロボットや自動運転車が、いよいよ現実の社会に登場しようとしている。こうした「フィジカルAI」の広がりは、担い手が限られる地方にとって、大きな可能性を持っていると感じている。設備投資の減価償却が終われば、それ以降のランニングコストは限りなくゼロに近づいていくからだ。
私は、これからのデジタル社会とは、モノやサービスのコストが限りなくゼロに近づく「限界費用ゼロ円社会」だと考えている。極端に言えば、コストがゼロに近づかないモノやサービスは、いずれ形を変えていかざるを得ないということだ。
たとえば電気料金は、過去10年でおよそ50%上昇した。ガスや上下水道も含め、光熱費が今後下がると考えている人は、ほとんどいないはずだ。しかしその電気の中身を見ると、この10年で太陽光や風力の発電コストは、原子力や火力発電を下回り、世界で最も安い発電方式のひとつになった。太陽や風には燃料費の請求書が届かない。減価償却が終われば、発電コストはほぼゼロ円に近づいていく。
実際に、当協会が注目している自家消費型太陽光発電の事例では、太陽光パネルと蓄電池を導入し、補助金を活用することで、投資回収を8?9年程度に見込めるケースもある。回収後は、電気料金の上昇にほとんど影響されない暮らしが実現できることになる。
こうした「限界費用ゼロ」の発想は、エネルギーだけの話ではない。フランスのタイヤメーカーであるミシュラン社は、走行距離に応じてタイヤの料金を課金する「タイヤ・アズ・ア・サービス」という仕組みを、運送会社向けに提供している。すべてのモノがインターネットにつながる社会では、使った分だけ支払うというビジネスモデルが、これからさらに広がっていくのではないだろうか。
